長倉穣司 (トランペット奏者) Webサイト

1-(5) しつこいほど中低音をやる

ウォーミングアップの譜例は私が、世界の一流プレーヤーと言われるような人の方法を研究し、わかりやすくしたものです。これと同じような方法を、世界の一流プレーヤーと言われている人たちも日々行っています。

このような平凡な方法が、実は上手になる元なのです。シンプルなものの中にこそ、重要なことが含まれています。もちろん譜例をただ吹いただけではなんの役にもたちません。その意味や目的をわかって正しく行う必要があります。

トランペットの技術を向上させようとして、結果を早く求めようとするあまり、負荷のかかる難しいトレーニングをたくさん行ってしまう人がいます。ところが、世界の一流プレーヤーといわれる人たちほど、実は技術の向上のためには、意外なほどシンプルなトレーニングを、丁寧に行っているものなのです。

スポーツの世界でも、「早筋と遅筋」「インナーマッスルとアウターマッスル」などのキーワードがあり、軽い負荷の運動を毎日行うことで、耐久力があり怪我が少なく繊細な動きが出来る体を作るようです。トランペットにおいて、この「軽い負荷の運動」に相当するのが、このあとご紹介していく平凡でシンプルな中低音のフレーズです。

クリーヴランド管弦楽団首席奏者の「マイケル・サックス」が、このように言っていました。
「しつこいほど中低音をやること。プロでも中低音をおろそかにしている人がいる。」
(2010年11月13日日本トランペット協会第58回マスタークラス・クリニック)