これまでのウォーミングアップの総仕上げとして、このパターンを行います。曲を演奏するように、音楽的なイメージをもってして行います。ここで挙げているパターンは1例であり、この譜例にとらわれなくてもよいです。
今までのことを総合的に盛り込みつつ、考えて行います。
譜例では、この段階になって初めてhighB♭まで吹くようになっています。最初のロングトンーンの時と同じような状態でhighB♭の音を出すことが出来るという目標です。
ここでhigh-B♭を出すため、特別な力を入れてしまっては意味がありません。それでは今までのウォーミングアップを台無しにしてしまうことになります。
ウォーミングアップを忠実に行い、かつ唇や口の周囲の筋肉がバテていない状態で、それでもhigh-B♭が出ないとしたら、ここまで述べてきたものの何かがまだ少し欠けている、あるいは充分準備、鍛錬がなされていない可能性があります。それが何であるのかということは、恐らく個々人で異なります。それらを検証し、個別に対策を立てるのがレッスンの目的でもあります。
ハイトーンはハイトーンを吹かないと出来るようにはならない、と思い込んで、唇の振動が失われていても挑戦している光景によく出会いますが、それは、せっかくの心地よい振動を破壊しているばかりでなく、力をかけてハイトーンを吹くという、悪い習慣を体に覚え込ませていることになり、非常に危険です。
高い音を演奏する時も、楽器がよく響く綺麗な音を、効率よく音を出すための4つの大原則(1頁)を守って行うことが大事です。自分が4つの原則を守って吹けるのはどの音域までなのかを把握し、その手前までの音域をしっかり訓練し徐々に音域を広げていくことが、結果的にハイトーンを吹くことが出来るようになる近道になりきます。
「ハイトーンなど練習しなくても出来るようになるのだよ!」