口腔を中心とした演奏中の気道の断面図
口腔を中心とした演奏中の気道の断面図

舌は何もしていない自然な状態では口の中いっぱいに風船のように膨らんでおり、舌の表面は多くの面で上顎に接しています。この舌と上顎の間の狭いスペースを通して息を唇にあてます。

狭いスペースを通過して送られた息が唇に当てられれば、口の中を大きく広げて息を出すことにくらべて、より圧力の高い息を効率よく唇に送ることができることになります。この適度に圧のかかった息で唇が振動し音が出ている状態の息の出し方のことを、レッスンでは「息がフォーカスされる」と表現しています。

舌が下がっていて息の通り道が大きくなると、口内圧力は減少し、息はフォーカスされないで唇にあたります。そのため音はぼんやりしたものになりがちです。その状態を解消する、つまり息のスピードを上げるために、息を強く吹きすぎてしまったり、喉を絞めて圧力を上げる人がいます。こうなると、前述の「必要最小限の力」の原則から逸脱してしまった、悪い力の循環に陥ることになります。

舌の位置が高い位置で息がフォーカスされていると、スラーの音の変わり目やリップスラーがとても簡単になるはずです。また音の輪郭がはっきりして、特にロートーンがはっきりとした音となるはずです。

舌の位置を高くするために、舌に力が入っては元も子もありません。この場合、舌は自然な状態で口の中いっぱいになっている状態をほんの少し修正して息を通すもの、というくらいに考えるのがよいかもしれません。つまり、黙っている時の状態が既に楽器を吹くための高い舌の位置にほぼなっているはずなのです。

舌の位置を今まで意識したことのない人にとっては、舌がどのようになっているか、わかりづらいかもしれません。*1

上述のような舌のイメージをもって練習を進めることで、力をかけることなく舌の正しい位置や力の抜き方を習得しやすいのではないか思います。

*1
舌の位置については人により感じ方が違うため、「口の中が広い」または「狭い」という表現が一概に舌の位置を表しては いないかもしれません。また舌の唇側と奥側、中央と両翼といった場所による高さの感じ方も人それぞれと思われます。
舌の位置により息の通り道が狭い方が口の中の気圧を楽に保つことができ、バックプレッシャー(喉の力)を抜くことになります。


長倉穣司 (トランペット奏者) Webサイト

4-(3) 舌の位置

口腔を中心とした演奏中の気道の断面図
口腔を中心とした演奏中の気道の断面図

舌は何もしていない自然な状態では口の中いっぱいに風船のように膨らんでおり、舌の表面は多くの面で上顎に接しています。この舌と上顎の間の狭いスペースを通して息を唇にあてます。

狭いスペースを通過して送られた息が唇に当てられれば、口の中を大きく広げて息を出すことにくらべて、より圧力の高い息を効率よく唇に送ることができることになります。この適度に圧のかかった息で唇が振動し音が出ている状態の息の出し方のことを、レッスンでは「息がフォーカスされる」と表現しています。

舌が下がっていて息の通り道が大きくなると、口内圧力は減少し、息はフォーカスされないで唇にあたります。そのため音はぼんやりしたものになりがちです。その状態を解消する、つまり息のスピードを上げるために、息を強く吹きすぎてしまったり、喉を絞めて圧力を上げる人がいます。こうなると、前述の「必要最小限の力」の原則から逸脱してしまった、悪い力の循環に陥ることになります。

舌の位置が高い位置で息がフォーカスされていると、スラーの音の変わり目やリップスラーがとても簡単になるはずです。また音の輪郭がはっきりして、特にロートーンがはっきりとした音となるはずです。

舌の位置を高くするために、舌に力が入っては元も子もありません。この場合、舌は自然な状態で口の中いっぱいになっている状態をほんの少し修正して息を通すもの、というくらいに考えるのがよいかもしれません。つまり、黙っている時の状態が既に楽器を吹くための高い舌の位置にほぼなっているはずなのです。

舌の位置を今まで意識したことのない人にとっては、舌がどのようになっているか、わかりづらいかもしれません。*1

上述のような舌のイメージをもって練習を進めることで、力をかけることなく舌の正しい位置や力の抜き方を習得しやすいのではないか思います。

*1
舌の位置については人により感じ方が違うため、「口の中が広い」または「狭い」という表現が一概に舌の位置を表しては いないかもしれません。また舌の唇側と奥側、中央と両翼といった場所による高さの感じ方も人それぞれと思われます。
舌の位置により息の通り道が狭い方が口の中の気圧を楽に保つことができ、バックプレッシャー(喉の力)を抜くことになります。